一度カビが生えた家具の対処法|家具メーカーが教える手法や予防法いろいろ
室内の湿気は、家具にカビを発生させる大きな原因の一つ。
カビは家具そのものを損傷させるだけでなく、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、一度カビが生えた家具を見つけた際には迅速な対処が必要となります。
この記事では、一度カビが生えた家具の効果的な対処法と防止策を紹介し、カビ取りからカビ予防に至るまで、家具を長持ちさせるための重要なポイントを紹介します。
プロも実践するようなカビ対策法も併せてご紹介していくので、健康で快適なお部屋環境作りのためにも、ぜひ最後までお見逃しなく!
カビの原因と健康リスク
家具にカビが生えることは見た目の悪化だけでなく、健康にもさまざまなリスクを引き起こします。
このセクションでは、なぜカビが発生するのか、その原因と健康への影響について詳しく解説します。
カビの要因やリスクを詳しく理解することで、カビの予防と対策がより効果的に行えるので、まずはご一読を!
カビが生える環境と原因
そもそもカビは、室内の湿気や結露、通気性の悪さなどによって湿度と温度の両方が高まることで発生します。
カビ菌は湿度が70%以上になると活動が活発化し、さらに温度が25~30℃の範囲で最も繁殖しやすくなります。
特に、浴室や台所のように湿度が高くなりやすい場所、もしくは梅雨時期など温度と湿度がともに高まりやすい時期は要注意。
このような環境下で、木材や布団、タンスなど湿気を吸収しやすい素材を放置してしまうと、カビが一気に拡がってしまうというわけなのです。
カビによる健康への影響
カビは家具や布に定着すると、胞子を空気中に放出するようになります。
これを吸い込むことで、鼻詰まり、目のかゆみや皮膚のかゆみといったアレルギーや呼吸器系の疾患を引き起こしてしまうのです。
特に小さなお子さんやペットのいるご家庭では、将来的に大きな悪影響を与えてしまうことも・・・。
このような健康被害を避けるためには、カビの生えにくい環境作りがとにかく大事なのです。
家具へのダメージ
カビが家具に生えると、家具自体の構造や見た目に重大なダメージを与えます。
カビは家具の素材を侵食し、特に木製や布製の家具に対しては、その素材自体を劣化させる原因となります。
また、カビが繁殖すると見た目も悪化するため、家具全体の価値が下がります。
例えば、テーブルや収納家具のような木製家具にカビが生えると、木が腐食しやすくなり、繊維が脆くなって簡単に破損してしまいます。
ソファやチェアといった布製家具や革製家具の場合も、簡単には取れないシミや黒ずみが広がり、見た目が非常に悪くなります。
このようにカビが家具に生えてしまうと、その素材の劣化や見た目の著しい悪化を招くため、それを防ぐためには
①適切な対処方法を知ったうえで
②迅速に対処すること
が大きなカギとなるので心得ておきましょう。
家具素材別のカビ除去方法
カビのことについて学んだところで、ここからは家具の素材別にカビ除去方法を詳しく解説します。
家具の素材に応じた適切なカビ除去方法を理解することは、家具の寿命を延ばし、家族の健康を守るためのキーポイントです。
それでは、それぞれの家具素材毎に具体的なカビ除去方法を見ていきましょう。
木製家具のカビ取り
木製家具にカビが生えた場合、まずはエタノールや専用のカビ取り剤を使用して表面のカビを速やかに除去しましょう。
カビは木材に深く浸透しやすく、繰り返し発生する可能性が高いため、殺菌効果の高い方法で早急に対処するのがポイントなのです。
ただし、エタノールや専用薬剤にはアルコール分が含まれていることが多いので、木製家具の種類によっては表面の風合いの変化や塗装の劣化を引き起こす可能性もあります。
家具の劣化を気にする場合や、カビの発生範囲がごくわずかな場合は、家庭用の中性洗剤を水で薄め、清潔な布を浸して拭き取ってください。
大事なのは、その後しっかりと乾燥させること。
乾燥不足は新たなカビ発生の原因となるので、ただ自然乾燥させるだけでなく、扇風機や除湿機を使用して速やかに乾燥を促進させると効果的です。
ただし、完全にカビを死滅させたいから、と直射日光に当てるのはNG。
木材は日光に弱いので、表面の退色や劣化、木材の割れや反り曲がりを引き起こしてしまうので気をつけましょう。
そして、完全に乾燥させた後にもう一つ重要なのが、カビの再発を防止するための措置。
市販の防カビ塗装や防カビスプレーを駆使して、カビが再発しにくい状態をキープしましょう。
布製家具のカビ取り
続いて布製家具の対処法について。
布製家具は繊維が密集していて、木製同様カビが根を張りやすいため、適切に対処しないとカビが再発してしまう可能性があります。
まずは家具を日光の当たる場所に移動して十分に乾燥させます。
日光は自然なカビ殺菌効果があるため、布製のものにはとても効果的。
カバーなど洗うことができる場合は、洗濯をしてから天日干しでも〇。
洗濯できないものは、掃除機を用いてカビの粉末や細かなカビ胞子を吸い取りましょう。
特にカーペットやソファなど、繊維が密集している布製品にはこの手順が必須。
その後は、さらに追い打ちをかけるべく酢やアルコールを使用してカビを根こそぎ殺菌します。
市販のカビ除去剤も有効ですが、成分的に布地が傷んでしまう場合があるので、使う際は目立たない箇所で必ずテストを行いましょう。
最後に、防カビスプレーなどで仕上げて完了となります。
なお、漂白剤を使ってカビ取りを行う方法も一部で発信されていますが、除菌力が非常に高い反面、布生地を傷めたり脱色してしまう可能性が高いため、専用のカビ取り剤以上に取り扱いには注意しましょう。
また人体にもとても有害なものなので、袋やマスクといった保護具を必ず着用し、換気を行いながら使用するのを忘れずに。
革製家具のカビ取り
最後に革製品について。
革製品はデリケートな素材であり、適切な方法でケアしないと深刻なダメージを受ける恐れがあるので、革製家具のカビ取りは他の家具よりも慎重に行う必要があります。
革製家具のカビ取りには専用の革クリーナーやカビ除去剤を使用し、優しく拭き取りましょう。
まず、革用の柔らかい布またはスポンジを用意し、クリーナーを少量取り、カビの部分になじませます。
次に、優しく拭き取るようにしてカビを除去。このとき、ゴシゴシ擦らないように注意を。
こちらも布製品同様に、作業中に使用するクリーナーや除去剤は、必ず目立たない場所でパッチテストを行い、問題がないことを確認してから使用しましょう。
カビ取り後はしっかり乾燥させた後、革専用の保護剤や保湿クリームを塗布し、革の調子を整えつつカビ防止を行います。
革製家具は前述の2つのものと違って、漂白剤や直射日光といった強力な除菌滅菌方法がNGなので、どうしてもカビを根絶できない場合は、専門業者にクリーニングを依頼することをおすすめします。
カビの再発防止策と対処法
カビが生えた家具をきれいにした後でも、再びカビが発生するリスクは依然として存在します。
そこで最後にご紹介するのは、カビの再発を防ぐための実践的な方法と対処法について。
カビが再び発生しないようにするためには、家具の周囲の環境を整えることが重要です。
このセクションでは、湿度と温度の管理、防カビ製品の活用、定期的な掃除とメンテナンス、家庭で実践できるカビ予防テクニックについて一緒に見ていきましょう。
湿度と温度の管理
前述した通り、カビは高温高湿の環境下で繁殖するため、カビの予防には湿度と温度の管理が最重要かつ最も効果的です。
除湿機を使用したり、こまめに換気して、目安として部屋の湿度が60%以下をキープできるよう湿気対策をしましょう。
温度に関しても、目安として20~25℃程度に保つことがカビの抑制につながるので、特に夏場や冬場はエアコンや暖房機器を上手に活用し、温度を適切に管理しましょう。
防カビスプレーと効果的な製品の活用
カビの予防として、市販の防カビスプレーを使用するのも一つの手。
特に、湿気の溜まりやすい家具と家具の隙間や接合部、部屋の角や家具の裏側など見落としがちな部分にもスプレーすることをお勧めします。
また最近では、置くだけで防カビ効果がある薬剤や、長期間効果が持続するスプレー、ペットや赤ちゃんがいても安心なタイプなど、さまざまな防カビグッズが市販されているので、使用目的や環境に応じてピッタリなものを選びましょう。
定期的な掃除とメンテナンス
お部屋や家具の定期的な掃除とメンテナンスも、カビの発生を防ぐカギとなります。
カビの栄養源はホコリなどの汚れなので、定期的に掃除を行うことでカビの発生源を取り除くことができます。
例えば、家具の隅や裏側を掃除機や布で拭く、換気を心がけることで、カビの発生を未然に防ぐことができます。
家具の配置も風通しを良くするために工夫し、定期的に家具を動かして周囲の掃除をしっかりと行うとさらに〇。
こまめにメンテナンスと掃除を行うことで、いざというときでもカビ取りのような大変な作業をしなくて済むので、日ごろから意識したいところですね。
一度カビが生えた家具の対処法のまとめ
オープンラック(左)/オープンラック(右)/テーブル/チェア
いかがでしたか?
大切な家具にカビを発生させないためには、湿度管理や定期的な掃除が不可欠。
また万が一カビが発生してしまった場合も、素材別のカビ取り方法を理解しておけば、自分の手に負えなくなる前に最小限の被害で抑えられることも。
お伝えしてきた通り、カビは家具だけでなく皆さんの健康も脅かす危険性のある厄介な存在なので、湿度と温度の管理や定期的なメンテナンスを心掛け、カビが拡がらない空間作りを意識していきましょう。
また、どうしても手に負えなくなった場合でも、カビ取りのプロや専門業者に相談することで解決する場合もあるので、一人で悩まずに相談してみてくださいね。
このコラムを書いた人
arne interior WEB事業部
愛知県名古屋市の家具製造・販売メーカー、株式会社arneが運営するarne interior公式オンラインショップスタッフです。
おすすめ商品や選び方のポイント、インテリアの基礎やコーディネートなどの家具にまつわるお役立ち情報をご紹介します。